退廃的文明開化

気ままにノベルゲームの感想を投稿します。

『終のステラ』感想

1.はじめに

『終のステラ』をクリアした時に感じた率直な意見は「面白かったけど、どこが面白かったのかをうまく言語化できない」だ。なんだか一つの映画を見たような感覚でフワフワしていたが、演出に引っ張られて過剰に評価してしまっているだけではなかろうか?という疑問が拭えなかった。結論として、過去作を思い返すことで面白いと感じた個所の言語化には成功し一時的に満足したのだが、その後既プレイ者と感想を話したら(とはいえ私はくだを巻いていただけのように思えるが)ふつふつと作品についての思いが再燃し、仕事をしながら一日中考えて、本日ついに筆を執った次第である。

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『フタマタ恋愛』感想




1.フタマタ恋愛について

なんだか賛否両論あるようですが、とても好きなゲームです。人間関係に対して内向的な処理を丁寧に行っていく物語が好きなので、そういう意味ではフタマタ恋愛は本当にいいゲームだったと思います。
愛は歪んでいるほうが好きなので(というより信頼できるので)、純愛ってなんだか気持ち悪いなぁと最近考えていました。そんな折、愛や恋を否定しようとするキャラクターが出てくる作品は今の自分にはクリティカルで、やっぱりプレイする時期によって作品の評価って変わるよなぁ、その時必要な物語があるよなぁって感じたんですが、まぁそれはどうでもいいとして、運命とか純愛とかってコトバ虚飾めいてて気持ち悪いんですよね。なんだか都合のいいところだけ切り取った加工品みたいに扱われることが多くて。

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『ヘンタイ・プリズン』感想




テーマ自体はそこまで複雑だったり画期的なものじゃなくて、子供から大人になっていく姿を、様々な要素を絡めて表現した作品だったと思っている。恋愛で主人公の歪みが矯正される個別√は省略し、グランド√に焦点を当てていきたい。

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『魔女こいにっき』感想



このゲームでは、様々な作中作を通して物語そのものの在り方を描いてくれたんじゃないかと思います。

時に人は現実に物語を見ます。物語の正体は想像ですから、現実のみならず、例えば歴史だって人の想像が付随すれば、それは物語になります。結果から過程や心情を想像することで歴史は、単なる事実の観測から変貌を遂げ、一つの物語になるわけです。

作中にて物語が『ありそうでどこにもない』とか『ドラゴン』などと表現されているのは想像と現実の完全一致がありえないからでしょう。

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