退廃的文明開化

気ままにノベルゲームの感想を投稿します。

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『恋する少女と想いのキセキ ~Poupee de souhaits~』感想

はじめのうちは近江谷ヒロイン・主人公らしさを楽しみながら読んでいたが、読み進めていくうちになんて残酷な設定なのだろうかと思った。人形はたった一つの大きな願いを宿した存在で、思い出を持てない。取り戻せない過去は未練となって器がよどみ、存在を…

『そして明日の世界より――』感想

本作を敢えて一文にするならば、死生観でも日常の大切さでもなく、互いの掌にあるたくさんの黄金の価値を知る物語だったと言えるのではないかと思う。三か月後に世界が滅びる際は、それがどういう意味なのかも分からずに、酷くあやふやなまま自身の生死を考…

『霞外籠逗留記』感想

良質な物語に触れた時、物語への想いが溢れて零れ落ちるような気持ちになることがある。それは『魔女こいにっき』にて語られたように、物語が読み手を介して繁殖していくものであることの証左で、物語に孕まされたかのように、物語への感想が脳内に満ちたり…

『BLACK SHEEP TOWN』感想

まずは素敵な物語に感謝を。登場人物たちの心中に触れたり、推測して共感したり理解した気になれる時が一番、物語を読んで充実していると感じる。そのため数多の登場人物たちの内面を違和感なく描写しながら、彼・彼女らや街を取り巻く事件を進行させた筆力…

『俺たちに翼はない』感想

鷹志くんおよび主人公たちの状態は病名付きだから、なんだかとっつきづらくて遠く思えるが、実際は極めて普遍的でありふれたテーマだと思う。小さいところでいえば、普段の生活の中でも思考や感情のベクトルが一方向でないことなんて、よくあることではなか…

『終のステラ』感想

1.はじめに 『終のステラ』をクリアした時に感じた率直な意見は「面白かったけど、どこが面白かったのかをうまく言語化できない」だ。なんだか一つの映画を見たような感覚でフワフワしていたが、演出に引っ張られて過剰に評価してしまっているだけではなか…

『フタマタ恋愛』感想

1.フタマタ恋愛について なんだか賛否両論あるようですが、とても好きなゲームです。人間関係に対して内向的な処理を丁寧に行っていく物語が好きなので、そういう意味ではフタマタ恋愛は本当にいいゲームだったと思います。愛は歪んでいるほうが好きなので…

『ヘンタイ・プリズン』感想

テーマ自体はそこまで複雑だったり画期的なものじゃなくて、子供から大人になっていく姿を、様々な要素を絡めて表現した作品だったと思っている。恋愛で主人公の歪みが矯正される個別√は省略し、グランド√に焦点を当てていきたい。

『魔女こいにっき』感想

このゲームでは、様々な作中作を通して物語そのものの在り方を描いてくれたんじゃないかと思います。時に人は現実に物語を見ます。物語の正体は想像ですから、現実のみならず、例えば歴史だって人の想像が付随すれば、それは物語になります。結果から過程や…

『夜巡る、ボクらの迷子教室』りこルート感想

1.はじめに 正直に言ってりこルートは、はやてルートやきなルートとは別格の出来栄えだったと感じている。それはあくまでも”私の中で”という枕詞がつくことは敢えて言うまでもないだろうが、つい先日プレイしたばかりの作品で感じたこととも合致する考え方…

『ウィザーズコンプレックス』アイリスルート所感

1.はじめに ある特定の界隈で大変な人気を誇る『ウィザーズコンプレックス』のアイリス√について、感じたことをまとめられたらと思い筆を執った。正直なところ、プレイ後の所感としては彼女の魂そのものについてへの共感はあまり強くなかったと思う。境遇に…

『青い空のカミュ』考察

1.はじめに 考察と銘打ってはいるものの、いうほど大層なものでもない。先日プレイした『青い空のカミュ』という作品を掘り下げて、言語化してみたくなったので、こうして駄文を連ねることにしたというだけのことである。そもそも、正直に話せばこの作品を…

マルコと銀河竜 感想

1.はじめに 『マルコと銀河竜』に関して、僕の知っている限りではおおむね評価がよいように思える。僕にとっても『マルコと銀河竜』は短いながらもノベルゲームの新たな境地を見せてくれたし満足のいくシナリオだった。個人的にはとゲー自体が好きな部類で…

『腐り姫』考察

0.あらすじ 父親と妹が怪死を遂げ、記憶喪失となった主人公は、義母に連れられ、故郷の町へと戻る。そこで主人公は蔵女(くらめ)と呼ばれる、深紅の着物の少女と出逢う。少女は自分の妹に瓜二つだった。取り巻く家族や友人たちは、うわべでは彼の回復を望…